概要

近年心不全による入院患者数の増加、再入院率の上昇が続いている状況があり、当院では2014年地域の心不全患者さんの実態を把握しようと、北河内及び隣接地域の13の中小規模病院による多施設共同研究『北河内心不全レジストリ(KICK OFF Registry)』を開始しました。

3年間に1253名の心不全患者さんが登録され、患者さんの平均年齢は78.1歳と高齢者が非常に多く、80歳以上の17.4%が独居、18.2%が配偶者とのみ同居の老々世帯であることがわかりました。

また80歳以上の50%以上が自身で服薬管理をしており、60%以上が7種類以上の薬を処方されていました (図5)。

当院に早期再入院する患者さんの特徴も浮き彫りになりました。

併存疾患が多く、高齢、低体重、怠薬、入院中にADLが低下、訪問医療や通所サービス利用率が低いなどです (図6)。

この結果、再入院を予防するためには、退院後の高齢者の生活をサポートする必要性が認識されましたが、それは急性期病院だけでできるものではありません。

かかりつけ医や訪問看護師といった地域の医療・介護職、更には家族との連携が必要となります。

そこで当院では2017年9月より、心血管疾患二次予防プロジェクト(通称:レインボープロジェクト)をスタートさせました。

心血管疾患(心不全、虚血性心疾患、心房細動)で入院した患者さんを対象に、退院後は患者さんの自己管理を促し、それを地域の医療職、介護職、患者・家族が情報を共有しながらサポートし、再発・再入院を予防しようという取り組みです。

ちなみにレインボーという名称は、「二次予防(にじよぼう)→虹呼ぼう」から発想されたものですが、そこには「虹は希望の架け橋」、レインボー手帳が「患者さんと医療職・介護職の架け橋」になってほしいというスタッフの強い思いも込められています。