令和6年度 国家公務員共済組合連合会 枚方公済病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1 54 89 106 289 640 959 2617 2816 832
当院は、北河内医療圏の急性期病院として一般・救急医療を担い、幅広い年齢の方の診療を行っています。高齢化社会を迎え、当院でも60歳以上の患者さんが86%程度を占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 174 20.97 20.78 17.24 85.18
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 54 12.63 16.40 11.11 85.98
010060xx99x00x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 44 4.48 5.92 2.27 71.91
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 28 13.79 13.66 0.00 80.21
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 26 4.00 4.67 3.85 71.50
 内科が担当した症例では、誤嚥性肺炎が最も多くなりました。誤嚥とは食べ物や唾液などが食道ではなく気管へ入ってしまうことを意味し、それらに含まれる細菌が気管から肺へ入り込むことで起きる肺炎が誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎は、嚥下機能が低下した高齢者や寝たきりの患者さんなどに多く発生するのが特徴です。
 肺炎については指標の5番目「成人市中肺炎の重症度別患者数」も併せてご覧ください。

 前庭機能障害とはいわゆるめまいのことで、内科の医師が救急の担当もしておりそれらの症状での受診が多かったため件数に上がっています。
内分泌代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 26 20.23 20.78 19.23 84.12
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等21あり 21 13.43 13.77 0.00 68.90
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 18 11.11 16.40 5.56 84.44
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 12 13.00 13.66 0.00 82.92
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 9.82 13.07 0.00 66.09
内分泌代謝内科は誤嚥性肺炎や尿路感染症の患者さんの入院や、2型糖尿病関連の治療が上位を占めました。内科においても同様の疾患の入院が件数としてあがってきていますが、内分泌代謝内科においては内分泌系の基礎疾患を有する患者さんの治療を担当しています。

2型糖尿病に関しては、2023年11月から新たに糖尿病教育入院が始まり、医師を筆頭に看護師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などの様々な職種が連携し、指導を行っています。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 13 15.85 17.95 7.69 79.62
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 9.82 6.89 9.09 65.82
010160xx99x01x パーキンソン病 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病あり - - 31.47 11.11 82.56
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし - - 20.78 - -
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等24あり 定義副傷病なし - - 15.45 - -
 脳神経内科の症例は、パーキンソン病が最も多く、2番目にてんかんという結果になりました。
 パーキンソン病は脳のドーパミン神経が減る神経変性疾患であり、震えや転びやすいなどの運動症状を呈する疾患です。てんかんは脳の電気的な異常活動が原因で発作が起き、手足がしびれたり動悸、意識を失うなどの症状が出る疾患です。
 パーキンソン病ではパーキンソニズム治療剤・ドーパミン作動性パーキンソニズム治療剤、てんかんでは抗てんかん剤等を使用し、どちらも薬剤療法での治療を主に行っています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 656 2.11 2.57 0.00 69.77 ポリープ切除
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 69 7.36 7.60 0.00 67.14
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 51 9.63 8.88 1.96 78.35
060190xx99x0xx 虚血性腸炎 手術なし 手術・処置等2なし 50 8.08 8.51 2.00 72.02
060340xx99x0xx 胆管(肝内外)結石、胆管炎 手術なし 手術・処置等2なし 43 11.28 9.45 6.98 84.53
 最も症例数が多かった小腸大腸の良性腫瘍では、クリニカルパスを用いて治療の標準化に努めています。そのことを反映して平均在院日数が全国値と近い値になっています。
 2番目に多かった憩室出血・憩室炎等では、内視鏡検査で出血源や炎症部位を確認し、憩室炎の場合は抗生剤投与を主に行い、憩室出血で自然止血しているケースでは止血術を施行せず、出血による貧血が認められる場合は輸血を実施しています。

 その他では腸炎などに対する内科的な治療のほかに、胆管結石や胆管炎などの疾患に対して、内視鏡を用いた胆道検査(ERCP)やステントの留置を行っています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130060xx97x40x 骨髄異形成症候群 手術あり 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 16 9.56 18.57 0.00 71.38
130010xx99x9xx 急性白血病 手術なし 手術・処置等29あり 13 19.92 12.45 0.00 71.38
180010x0xxx1xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等21あり 13 12.92 22.01 7.69 69.46
130060xx99x4xx 骨髄異形成症候群 手術なし 手術・処置等24あり 11 9.18 9.72 0.00 70.64
130030xx99xbxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2Bあり 10 13.90 12.23 0.00 76.00
 血液内科では、主に骨髄異形成症候群や白血病、非ホジキンリンパ種(=悪性リンパ腫に分類される。リンパ球が、がん化した病気)の抗がん剤治療の患者さんが多くなっています。様々な選択肢から最適な治療を選ぶことのみならず、Qualityoflifeも最重視し治療を行っています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 12 15.17 20.78 8.33 88.75
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 12 14.92 13.66 0.00 68.25
110290xx99x0xx 急性腎不全 手術なし 手術・処置等2なし - - 13.54 - -
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし - - 16.40 - -
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり - - 13.75 - -
 腎臓又は尿路の感染症は、細菌が感染する部分によって上部尿路感染症(腎盂腎炎など)と、下部尿路感染症(膀胱炎など)に分けられます。
当院では、主に前者を腎臓内科、後者を泌尿器科が担当しています。慢性腎不全では、出来るだけ進行を遅くするために投薬や生活習慣の改善を行います。
進行してしまった腎不全に対しては、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、家族間移植)の準備を開始し、患者さんと相談し治療方法を決めていきます。多くの場合は、当院で血液透析を行い、腹膜透析は他施設へ紹介、移植に関しても大学病院などへ紹介しています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 10 7.20 9.59 10.00 44.10
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2なし - - 9.82 - -
040200xx99x00x 気胸 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 9.28 - -
160450xx99x10x 肺・胸部気管・気管支損傷 手術なし 手術・処置等2あり 定義副傷病なし - - 10.79 - -
040020xx97xxxx 縦隔の良性腫瘍 手術あり - - 7.70 - -
 呼吸器外科では、主に気胸に対する胸腔鏡下肺切除術目的の入院が多くなっています。
胸腔鏡下肺切除術は、全身麻酔下で胸に数ヶ所の小さな傷をつけ、そこから内視鏡(胸腔鏡)と手術器具を入れて肺の病変部(嚢胞など)を確認・切除・縫合する低侵襲な手術です。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 345 15.05 17.33 4.93 84.16 心不全
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 171 14.89 16.40 9.94 85.01
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 160 4.50 4.18 0.00 71.54
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 156 19.26 20.78 19.87 84.91
050030xx03000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 156 10.39 11.37 1.28 71.20
 循環器内科では、心不全や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞等、心臓そのものの血管の流れが悪くなったり、詰まってしまったりする状態)などの疾患に対して診療を行っています。入院患者の上位を占めている心不全は、冠動脈疾患、弁膜症、高血圧、不整脈などが原因で発症するため、薬物療法やカテーテル治療(流れが悪くなってしまった血管に筒を留置して血流をよくする治療)、ペースメーカーなどのデバイス治療など、原因に応じて治療を行っています。

 当院では、心不全の患者さんに「レインボー手帳(心不全手帳)」を配布し、自宅で体重を記録するセルフモニタリングを通じて病気に対する知識を深めていただく取り組みを行い、再入院予防にも取り組んでいます。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 73 4.30 4.54 0.00 73.37 ヘルニア根治術
060335xx0200xx 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 66 6.70 7.05 1.52 69.85
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 37 5.19 5.99 0.00 64.95
060241xx97xxxx 痔核 手術あり 34 2.56 5.38 0.00 69.85 痔核硬化療法
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 32 7.28 9.08 3.13 70.53
 外科においては症例数が多い疾患について、クリニカルパス(入院のスケジュール表のような治療計画)を使用して、治療の標準化や医療の安全、質の向上を図っています。また、表にある症例の多くの手術は腹腔鏡下手術で行います。胸腔鏡による手術は一般的に患者さんへの負担が開腹(お腹を切る)手術より少なく、術後の早期退院が見込めるとされています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 19 16.42 17.33 10.53 87.32
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 17 2.41 7.38 0.00 69.18
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 16 14.56 16.40 18.75 83.38
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし 14 8.29 10.18 0.00 78.71
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 14 2.43 2.66 0.00 72.93
 心臓血管外科においては、心不全の患者さんが最多となりましたが、そのほかに慢性腎不全に対するシャント造設術(人工透析を行うために腕の血管を太くする手術)目的の入院や、大動脈瘤の症例に対するステントグラフト内挿術(大動脈瘤の破裂を防ぐために、血管内に金属の筒(ステント)を留置して補強する手術)の手術のための入院も多くなっています。その他には、下肢静脈瘤に対する血管の手術症例などもありました。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 31 17.29 16.89 32.26 76.10
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 10 19.10 9.83 10.00 80.50
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 7.99 - -
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 18.68 - -
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 11.90 - -
 脳神経外科では、急性期脳梗塞に対するエダラボン加療(脳保護薬であるエダラボンを投与し、急性期脳梗塞に伴う諸症状の改善を図る治療)や脳血管リハビリの実施を多く行っています。次に多いのが、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。脳神経外科では外科的治療をメインに行っております。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 54 8.11 9.33 1.85 73.63
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 32 10.34 12.98 3.13 69.19
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 13 9.62 6.92 0.00 85.23
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし 10 2.90 3.77 0.00 79.60
080080xxxxxx0x 痒疹、蕁麻疹 定義副傷病なし - - 4.40 - -
 皮膚科では、帯状疱疹の症例数が最も多くなりました。抗ウイルス剤を投与し治療を行います。
 膿皮症と分類されていますが主に蜂窩織炎(細菌が皮膚の深い層に入り込んで炎症を起こす病気)や丹毒(細菌が皮膚の浅い層に入り炎症を起こす病気)が多く、これらの疾患に対しては主に抗生剤を投与し治療を行います。
 その他では悪性皮膚腫瘍や良性皮膚腫瘍に対する切除術など、外科的治療も多く行っています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 48 5.52 6.81 0.00 77.17 TUR-BT
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし 41 4.49 5.16 2.44 67.95 TUL
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 26 7.88 7.77 0.00 78.50 TUR-P
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 23 11.65 11.11 0.00 73.17
110310xx01xxxx 腎臓又は尿路の感染症 経尿道的尿管ステント留置術 19 10.47 13.58 0.00 72.47
 膀胱や前立腺の悪性腫瘍が件数の上位を占めております。前立腺癌等に対しては手術支援ロボットを使った低侵襲手術も行っています。上部尿路疾患とあるのは、いわゆる尿路結石のことです。尿道より器具を挿入し結石を除去する治療を行う症例が多くありました。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 46 26.87 25.29 67.39 83.24 人工骨頭挿入術
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 25 18.48 19.16 64.00 81.60
160800xx99xxx0 股関節・大腿近位の骨折 手術なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 11 10.64 13.56 18.18 87.18
071030xx99xxxx その他の筋骨格系・結合組織の疾患 手術なし - - 10.52 - -
160760xx01xxxx 前腕の骨折 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨等 - - 5.95 - - 骨折観血的手術(前腕)
 大腿骨近位骨折は、平均年齢にも表れている通り、高齢の方が転倒した際に起こることが多く、負傷をきっかけに「寝たきり」になってしまうことがあります。「寝たきり防止」のためには術後のリハビリが重要といわれています。
 当院は急性期医療を担当する病院であり、急性期の治療が落ち着き次第、地域の慢性期や回復期といったリハビリを得意とした医療機関に転院し、治療を継続するという経過をたどることが多いため、転院率が高くなっています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 151 5.00 4.29 0.00 77.99
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 135 2.11 2.49 0.00 75.36 白内障
020180xx99x2xx 糖尿病性増殖性網膜症 手術なし 手術・処置等22あり 43 1.00 2.66 0.00 74.09
020200xx99x1xx 黄斑、後極変性 手術なし 手術・処置等2あり 43 1.00 2.13 0.00 77.95
020210xx99x1xx 網膜血管閉塞症 手術なし 手術・処置等2あり 20 1.00 2.14 0.00 76.25
 症例数は、白内障が最も多くなっています。クリニックなどで外来による手術も行われる疾患ですが、基礎疾患を有する全身管理が必要な患者さんや、眼科的な難症例に対しては入院による手術も行っています。
 また、網膜硝子体疾患(加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、静脈閉塞症、近視性脈絡膜新生血管)に対し、硝子体注射という、目に注射をして薬剤を注入する治療を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 48 10 16 42 13 27 1 8
大腸癌 17 43 41 78 24 33 1 8
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 - - - - - - 1 7,8
肝癌 - 10 - - - 11 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 胃癌と大腸癌の症例数が多くなりました。比較的早期の患者さんから、病期(上の表ではstageと表現されており、数が大きくなるにつれていわゆる進行した状態を意味します。)が進んだ患者さんまで治療にあたっています。「不明」に関しては、入院時では病期が不明であった場合によるもので、その後の検査などで病期が判明します。
 専門とする医師が少ないことから、乳癌や肺癌の件数は少なくなっています。治療に関しては、進行度合いに関わらず抗がん剤治療などの内科的治療や、手術による外科的治療など、最適な治療を提案できるようにキャンサーボードという検討会を開催し議論を行っています。医師だけでなく、看護師や薬剤師、コメディカルがチームとなって協力し、治療を受けられる患者さんの心身をともにサポートできるように努めています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 29 9.66 55.24
中等症 232 14.59 80.75
重症 67 16.55 83.36
超重症 15 14.27 85.80
不明 - - -
市中肺炎の重症度は以下の「A-DROP」といわれる基準がいくつ当てはまるかによって判定します。
・A(Age):男性70歳以上、女性75歳以上
・D(Dehydration):BUN21mg/dl以上、または脱水有り
・R(Respiration):SpO290%以下(PaO290torr以下
・O(orientation):意識障害の有無
・P(Pressure):血圧(収縮期)90mmHg以下

上記の項目が
1つも当てはまらない場合=軽症
1~2つ当てはまる場合=中等症
3つ当てはまる場合=重症
4~5つ当てはまる、あるいはショック状態=超重症
と判断します。
患者数が最も多いのは、「中等症」です。重症度が上がるにつれ平均年齢が上がっており、平均在院日数も長くなっていることがわかります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 64 22.39 78.94 16.33
その他 83 6.92 73.52 2.72
 当院では、内科系ER(救急医療)を行っており、意識消失やめまいを訴える患者さんの受け入れも行っています。
また、2024年度より脳神経外科が新設され、前年度よりも脳梗塞患者の受け入れが増加しています。特に、発症3日以内の脳梗塞に関しては、前年度の2倍以上増加しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 15 18.60 19.13 20.00 84.60
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 - - - - -
K0032 皮膚、皮下、粘膜下血管腫摘出術(露出部) 長径3cm以上6cm未満 - - - - -
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの - - - - -
K596 体外ペースメーキング術 - - - - -
 最も件数が多くなった中心静脈栄養用カテーテル植込みは、主に口から栄養を摂る(食事をとる)ことが出来なくなった患者さんに対して、栄養を補給することを目的に行われる手術です。 消化管の機能が残っていない場合には中心静脈栄養用カテーテルを植え込み、そこから高カロリー輸液などを行います。
それらの手術を受ける患者さんの多くは高齢の方であり、また急性期治療を終えた後も引き続き治療が必要なことが多いため、慢性期の治療を担当する医療機関への転院率が高くなっています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 668 0.27 1.19 0.00 70.17 ポリープ切除
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm以上 42 0.52 1.50 0.00 69.00
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 39 1.00 6.41 0.00 75.31 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術
K654 内視鏡的消化管止血術 37 1.84 10.68 5.41 74.08
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 33 1.21 10.52 12.12 79.55 ERCP
 大腸ポリープに対する内視鏡による切除の症例が大半を占めています。

 比較的早期に発見された胃の悪性腫瘍は開腹ではなく、内視鏡的手術によって取り除く手術を行っています(K6532)。
また何らかの理由で胆道が狭窄(=狭くなること)し、胆汁の流れが悪くなった場合に、内視鏡的にステントを留置し改善を図る手術も行っています。外科と協力し開腹による治療と内視鏡による治療を選択しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 118 2.18 5.23 4.24 69.58 腹腔鏡下胆のう摘出術
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 55 1.13 2.24 0.00 71.67 腹腔鏡下鼠経ヘルニア
K7432 痔核手術(脱肛を含む。) 硬化療法(四段階注射法によるもの) 32 0.09 1.34 0.00 69.28 痔核硬化療法
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 29 0.59 3.76 0.00 50.28 腹腔鏡下虫垂切除術
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 26 5.23 9.04 0.00 79.27
 外科における手術では、腹腔鏡による手術の件数が多くなっています。腹腔鏡による手術は、開腹による手術に比べ患者さんの負担が少なく、傷跡が小さくて済むなどのメリットがある反面、操作が複雑なため技術が必要な手術となります。
 当院では、内視鏡外科学会技術認定医が在籍しており、腹腔鏡手術を安全に行う体制をとっています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 183 2.51 3.82 2.73 73.79
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術 急性心筋梗塞に対するもの 100 0.15 12.60 6.00 72.27
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 92 1.33 2.48 0.00 69.61 アブレーション
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 63 0.32 10.00 3.17 72.78
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 55 2.11 5.18 9.09 78.60
 循環器内科では、カテーテルを用いた冠動脈ステント留置術を多く行っており、疾患の違いによる分類から分かれて表現されています。これは、「ステント」という筒を流れが悪くなった心臓の血管に留置し、血流の回復を図る手術です。
 急性心筋梗塞に対しては、緊急で行われるため、術前日数が表のような値になっています。ステントを留置する治療のほかにも、不整脈に対してアブレーション治療(表では心筋焼灼術 K5951、血管からカテーテルを挿入して不整脈の原因となっている心臓の部位を高周波電流で焼灼し不整脈を治す治療)も行っており、前年度と比較して件数が増加しています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 17 0.41 1.00 0.00 69.18
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの 14 3.64 11.93 7.14 65.29
K6171 下肢静脈瘤手術 抜去切除術 14 0.07 1.36 0.00 72.93
K5612ロ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 13 1.38 6.15 0.00 79.15
K5542 弁形成術 2弁のもの 5 2.60 15.80 20.00 71.40
 冠動脈バイパス手術に関しては、患者さんの体への負担が少ない、人工心肺を用いない心拍動下(=心臓を止めずに手術を行う)冠動脈バイパスを第一選択としています。
 循環器内科との連携を密にし、個々の患者さんに応じたカテーテル治療と外科治療を組み合わせ、最適の治療方法を行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 14 2.21 15.86 14.29 82.79
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの - - - - -
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3cm未満 - - - - -
K145 穿頭脳室ドレナージ術 - - - - -
K1772 脳動脈瘤頸部クリッピング 2箇所以上 - - - - -
 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は、頭蓋骨に小さな穴(穿頭)を開け、そこから硬膜下の血腫を洗浄し除去する手術です。この手術では、硬膜を切開して血腫を排出し、その後、細い管(ドレーン)を血腫腔に挿入して残った血腫や洗浄液を排出させます。局所麻酔下で行われ、比較的短時間で終了します。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 15 0.93 7.93 0.00 83.00
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3cm以上6cm未満 - - - - -
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2cm以上4cm未満 - - - - -
K0022 デブリードマン 100c㎡以上3,000c㎡未満 - - - - -
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径4cm以上 - - - - -
 皮膚悪性腫瘍に対する切除の手技が最も多くなっています。悪性の診断がついていない場合、切除した腫瘍は病理検査に提出され、良性か悪性かの確定診断が行われます。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 52 1.12 3.88 0.00 77.23 TUR-Bt
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 34 1.65 8.97 2.94 73.09
K841-5 経尿道的前立腺核出術 26 1.15 6.08 0.00 77.73 TUR-P
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 24 1.00 10.17 0.00 73.33
K7812 経尿道的尿路結石除去術 その他のもの 23 1.00 2.65 0.00 70.48 TUL
 「経尿道的」手術とは、尿道から器具を挿入し行う手術のことで、体にメスを入れずに済むため負担が少なく、多くの症例で選択しています。当院では2022年12月から手術支援ロボットを導入し、前立腺癌や腎癌で手術を行ったことから、腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(K843-4)の件数も多いです。
また、救急部門とも連携し、尿路結石や、尿閉(尿が出なくなってしまう)への対応も行っており(K783-2、K7812)、術前日数が短いのはそのためです。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 32 5.19 17.78 46.88 83.59 骨折観血的手術(大腿)
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 22 9.55 17.45 90.91 82.86 人工骨頭挿入術
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 16 2.06 8.44 18.75 71.50 骨折観血的手術(前腕)
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 12 1.00 19.67 8.33 73.58 人工骨頭置換術(膝)
K0463 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他 - - - - -
診断群分類別患者数の項目にある通り、大腿骨の骨折は高齢の方に多く当院でも平均年齢が高くなっています。(K0461、K0811)負傷をきっかけにした「寝たきり」を防止するためには、術後のリハビリは重要といわれています。
そのため、急性期治療を担当する当院での治療が落ち着き次第、地域の慢性期や回復期といったリハビリを得意とする医療機関に転院し、治療を続ける必要があります。そのような治療の流れがあるためこれらの症例では転院率が高くなっています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 286 0.79 1.85 0.00 76.75 白内障
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術 その他のもの - - - - -
 眼科では白内障に対する水晶体再建術が多くを占めており、水晶体再建術とは濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工の眼内レンズを挿入する手術です。局所麻酔下で行われ短時間で終了することが多く、当院では片眼のみの場合は日帰り入院、両眼の場合は二泊三日の入院となることが多いため、術前日数・術後日数ともに短くなっております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - 0.01
異なる 6 0.07
180010 敗血症 同一 76 0.90
異なる 82 0.98
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - 0.05
180040 手術・処置等の合併症 同一 23 0.27
異なる 5 0.06
・血液の凝固する力が高まってしまい微細な血栓が多発する病態。
敗血症
・血液に細菌が入り込み全身の臓器がおかされてしまう病気。
その他真菌感染症
・真菌とは大まかに言えばカビのことで免疫機能が低下するなどして感染する。
手術・処置などの合併症
・透析患者さんのシャントの狭窄や術後感染、アレルギー性ショックなどのことです。いわゆる医療事故等のことではありません。
これらの病気は主たる疾患の合併症として発生することが多いため、提供する医療の質を高めるためのひとつの目安とされます。
ここでは上記の病名が入院時のきっかけとなった病名と、同一であるか、異なっているかに着目しています。)

上記の表では、「異なる」に数えられる例が入院中に合併症として発生した可能性がある、という参考になります。ただし、これらの疾患は臨床上「0件にはなりえない」ものです。
比較の上であまりにも発生率が高い場合は医療の提供方法に問題が存在することがあります。
手術・処置等の合併症について内訳を以下に記します。


処置に合併する出血及び血腫,他に分類されないもの … 9件
その他の心臓及び血管の人工器具,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 … 5件
処置のその他の合併症,他に分類されないもの … 3件
心臓及び血管のプロステーシス,挿入物及び移植片のその他の明示された合併症 … 3件
処置に続発する感染症,他に分類されないもの … 2件
尿路系プロステーシス,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 … 2件
輸液,輸血及び治療用注射に続発する詳細不明の合併症 … 2件
処置中の不慮の穿刺及び裂傷<laceration>,他に分類されないもの … 1件
輸液,輸血及び治療用注射に続発するその他の合併症 … 1件
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
466 445 95.49
 肺血栓塞栓症とは肺の動脈に血栓(=血の塊)が詰まってしまう病気のことです。いろいろな原因があるものですが、時に手術によっても生じることがあるため、発症と関連があると考えられている手術を行うときは、予防策を講じることが重要となります。
 ここで示されている値は、日本循環器学会の「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」に定められたリスクレベル「中」以上の手術を受けた患者さんへ、どの程度予防策を講じたかを示しています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1504 1107 73.60
 血液培養検査は血液に中に病気を引き起こす菌などがいないかを確認する検査のことです。患者さんから採血をして調べます。この際に採血を複数の部位から行い、複数の検体を採ることで検査の精度を高めることができます。
 この指標は当院において実施された血液培養検査のうち、1日に2回以上採血がおこなわれた例の割合を示しています。

 通常皮膚には常在菌と言ってさまざまな菌が存在しています。採血をするときには消毒を行いますが、検体へのそれらの菌の混入を完全に防ぐことはできません。
 この指標の「2セット実施」とは採血を2回(あるいはそれ以上)行うことで血液の状態を違う角度から調べることが目的であり、手技の不完全さを補完するものではありません。
 なお、令和6年度には世界的な血液培養ボトルの供給不足が発生していました。その点についてご留意ください。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
486 399 82.10
 抗菌薬、いわゆる抗生物質にはさまざまな種類があり、病気を引き起こしている原因菌を正しく特定して、お薬を選択する必要があります。
 この手順を踏まず多くの菌に効く抗菌薬(=広域スペクトル抗菌薬)を使用すると、薬剤が効かない耐性菌を生んだり、副作用が出るなどの弊害が起きたりします。

 この指標は広域スペクトル抗菌薬の投与を受けた患者さんが、どれくらいの割合で病気の原因の菌を特定する検査を受けたかを示し、この値が高いほど、上に説明したことへ配慮されている、すなわち医療の質が高いことを意味します。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
87,327 0 0
 入院している患者さんの転倒や転落は、けがや骨折などにつながる危険を有するため、その発生を可能な限り防がなければなりません。
提供する医療の質を表現するという観点から、このことを数値化したものがこの指標となります。
(入院患者延べ人数に対する、病院内で発生した転倒・転落の件数の割合)

 入院加療中の転倒・転落の主な原因としては、患者さんの健康障害(歩行障害など)、治療に伴うもの(画像検査に際しての壇上からの転落など)、環境(滑りやすい廊下など)等があります。当院ではリスクアセスメントシートを作成し患者さんの情報を共有したり、転倒・転落の可能性が高い患者さんについては病床にセンサーマットを設置するなどして、転倒・転落の発生を防ぐ対策を行っています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
87,327 0 0
 上の項目で述べられている、加療中の患者さんの転倒転落はすべての医療機関で完全にその数をなくすことはできないものです。
万一それらが発生してしまった場合、原因を究明し、再発の防止、よりよい療養環境の構築を図るためにインシデント報告を行い、分析をします。

 ここで示された値は、分析に用いられる転倒転落によるインシデント影響度分類において、レベル3b以上とされるものの発生率を集計したものになります。

 なお、レベル3b以上の分類については、以下の通りとなっています。

・レベル3b→傷害の継続性:一過性、傷害の程度:高度
 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)

・レベル4a→傷害の継続性:永続的、傷害の程度:軽度~中等度
 永続的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない

・レベル4b→傷害の継続性:永続的、障害の程度:中等度~高度
 永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う

・レベル5→傷害の継続性:死亡
 死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)

 令和6年度においては、いずれも該当するものはありませんでした。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
636 598 94.03
 手術によってできる創部の感染を予防する目的で、手術時に細菌感染を起こしてはいないが、抗菌薬(抗生物質)を投与することを予防的抗菌薬の投与といいガイドライン等によって手術開始前1時間以内の投与が推奨されています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
86912 0 0
 褥瘡とはいわゆる”床ずれ”のことであり、寝たきりなどの原因によって皮膚の同じ部位に体重がかかり続け、血流が悪くなることによってその部位がただれたり傷になってしまった状態のことを言います。自力での体位変換が困難であることのほかに、服薬している薬剤や疾患など様々なリスクが知られており、患者さんの状態を総合的に把握して、褥瘡の発生をできるだけ抑えることが医療の質を高めるうえで必要となります。

 この指標は日本褥瘡学会による褥瘡の分類(DESINE-R分類)におけるd2以上の褥瘡の発生を集計したのもです。(ただしこの数は院内における発生数を集計したものであり、入院時において既に褥瘡が発生していた件数は含みません。)
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
6658 6641 99.74
入院後早期に患者さんの栄養状態を確認することで、高齢の方に多い栄養状態の不良を把握することができます。低栄養状態や疾患を発見した場合の介入も早期に行うことができ、在院日数の長期化を防いだり、予後の改善が期待できます。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
87,327 2961 3.39
 身体拘束は、拘束される患者さんの尊厳を傷つけるという精神面での弊害や、関節の拘縮や、筋力の低下などを引き起こすなどといった身体的な障害も引き起こす可能性があるため、やむを得ない場合にのみ行われる行動制限です。そのため身体拘束は様々な対策を講じ早期に解除されなければなりません。

身体拘束を検討しなければならない場合、
 ・切迫性(生命または身体に危険が及ぶ可能性があること)
 ・非代替性(ほかに手段がないこと)
 ・一時性(身体拘束は一時的なものであること)
をもとに実施の判断を行いますが、これらの条件を満たすからと言って即身体拘束を行うことはせず、危急の事情がある場合を除き
必ず関係する方への同意をいただいてから実施することとしています。
更新履歴
2025.09.30