研究会の背景と今後

北河内心不全レジストリ研究会では、北河内地域とその周辺地域における心不全診療の向上と情報配信を目指すために中小規模の病院が中心となり、心不全患者さんの生活背景を調査する「北河内心不全レジストリ(KICKOFF Registry)」を2015年4月から開始として2017年8月の登録終了までに1253名の患者様に協力いただきました。登録後は3年間に渡る予後の評価をさせていただきました。

多くの患者様やご家族様だけでなく、枚方や八幡地域の医師や看護師をはじめとした医療者のみなさまのご協力に感謝申し上げます。今後はこの貴重なデータを本地域だけでなく、全国や全世界に発信していきます。現在は高知県の心不全レジストリ(YOSACOI study)とも統合したデータで情報発信を行っています。

また、本研究から抽出した問題点の解決策として、地域で取り組む北河内心血管疾患二次予防プロジェクト(レインボープロジェクト)に関しても協同して地域医療へ貢献をしていきます。

現在の循環器診療において心不全は最も多い疾患の一つです。心不全は増悪軽快を繰り返す疾患であり、その多くの原因として服薬コンプライアンス不良や塩分制限が出来ていないといった生活背景の問題によるものが報告されています。現在の循環器診療において心不全は最も多い疾患の一つです。心不全は増悪軽快を繰り返す疾患であり、その多くの原因として服薬コンプライアンス不良や塩分制限が出来ていないといった生活背景の問題によるものが報告されています。

本邦における全国規模のレジストリも報告されていますが、参加施設は中規模から大規模の病院であり、平均年齢は70歳前後であることが報告されています。499床以下の中小規模の病院で心不全の日常診療に接していると80歳以上の高齢心不全患者さんが多く、実臨床での心不全平均年齢はさらに高くなる事が予想されます。高齢心不全患者さんにおいては認知症や独居、高齢者同士の生活等の社会背景が多く関与して、心不全の発症や増悪を繰り返しています。このような患者群のレジストリ研究は未だ多くは報告されておらず、特に多施設間での報告は数少ないのが現状です。心不全診療においては医師のみでなく、コメディカル職とのチーム医療が重要であり、生活背景の是正には欠くことが出来ません。

このような現状で、特に生活背景に注目した中小規模の病院が中心となり、心不全患者さんを登録し、その予後を調査することは非常に重要です。北河内圏は、京都や大阪のベッドタウンであり、急速に高齢化が進行しており、京都市内や大阪市内には20kmほどの距離があるため、地元の病院に入院する傾向があります。本研究を通して、現状を把握することで北河内地域とその周辺地域における心不全診療の向上と情報発信を行います。