コラム │ 安心・安全なカテーテル治療を患者さんにお届けします

20240613yamamotoDr_003_3.jpg地域の先生方、平素より大変お世話になっております。
枚方公済病院にご来院の皆さん、当院の診療にご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございます。
本日はこの場をお借りし、枚方公済病院循環器内科のカテーテルチームの取組みについてお話したいと思います。

循環器内科副部長 山本貴士

① 痛みの少ないカテーテル治療

患者さんから「あの病院でカテーテルをしたらすごく痛かった。」というようなお話を聞かれたことはないでしょうか? 私たちは「患者さんの痛みを最小化する」ことを目指し、さまざまな取組みを行っています。 たとえば、カテーテル治療の際に使用する局所麻酔の見直しを行いました。 通常は、検査室に入ってから、針を刺す直前に麻酔をしますが、私たちの施設では「検査室に入る前から」麻酔を始めています。さらに局所麻酔に使用する針にも工夫を凝らし、「なるべく痛くないカテーテル治療」を目指しています。 以上については、私が個人的に行っている取組みではなく、枚方公済病院循環器内科全体で共有しているものです。 月~金まで循環器内科の外来には毎日、担当医師が出ておりますので、カテーテル治療について、またその他ご不安なことがあればお気軽にご相談ください。

②最新の治療を取り入れつつも安全なカテーテル治療

231106_0323.jpg心臓を栄養する冠状動脈の動脈硬化が進行すると石のように固くなってゆくことがあり、この状態を石灰化と呼びます。石灰化は通常、血管の壁の中で部分的に起こってくるものですが、さらに進行すると血管の壁すべてが石灰化で厚く覆われたり、血管の内腔(血管の内側の血液が流れているところ)に石灰化が突出してくることもあります。
こうなってくると、通常のカテーテル治療器具が病変を通過せず、一般的なバルーン治療やステント治療を行うことも困難となり、高度石灰化病変、複雑病変と呼ばれるようになります。カテーテル治療は日々進化しており、そういった複雑病変に対する治療器具も上市されており、当院でも積極的に取り入れています。
「ロータブレーター治療」(石灰化病変をダイアモンドのドリルで掘削します)
・・・以前からある治療法ですが、最近になって当院でも導入しました。カテーテル治療の選択肢が増え、以前であれば冠動脈バイパス手術が必要となっていた患者さまの治療においてもカテーテル治療が完遂できるようになりました。
「血管内破砕術」(衝撃波(音圧波)により血管の壁にある石灰化部位を破砕します)
・・・高度石灰化病変に対する最新の治療器具で、当院でも2024年7月に導入し、第一例を施行しました。安全かつ確実な治療として期待されています。

③「いつでも治療が受けられる』という安心

231106_0342.jpg枚方公済病院の循環器内科医は救急医でもあり、毎晩、救急当直として救急隊からのホットラインに対応しています。
急性心筋梗塞や急性大動脈解離などの病気は夜間、明け方に起こることが多いとされていますので、そういった致命的な循環器疾患を抱える患者さんや、ご紹介くださる開業医の先生方、ひいては救急隊の皆さんの「安心感」につながれば、と日々、思っております。
近年、高齢者の救急要請は増加傾向にあり、循環器疾患だけでなく、肺炎や急性腹症といった内科系疾患の救急診療もあわせて行っていますので、当直する医師の労働量は年々増えてきています。一方で、2024年には働き方改革が開始され、医師一人一人の労働時間には上限が設けられるようになりました。つまり「より少ない時間で」、「より多くの仕事を」こなさなければならない事態になっています。
どんなに優秀な医師がいても、一人では何もすることはできません。北河内地区の循環器診療を支えるためには仲間が必要です。仲間を集め、さらに持続可能な体制を構築するためには、メディカルスタッフも含めた職員一人一人の生活の質、幸せを追求することも大切です。
私たちは1つのチームとして『地域への貢献』という理念を共有し、「持続可能な循環器診療」を実現するために日々努力してまいります。

④最後に

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近年、当科のカテーテル治療件数は増加傾向となっておりますが、それは地域の先生方が寄せてくださる『信頼の証』であると感じています。 北河内地区の基幹施設として、その信頼に応えることこそが、枚方公済病院循環器内科の使命と考えます。 引き続き、地域医療に貢献できるよう努力してゆく所存ですので、今後ともご指導の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

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  • 2024年08月09日(金)